2021年度京都大学工学部編入試験体験記(不合格)
2021/8/31~9/1に標記のような試験を受験しました。
受験した学科は物理工学科原子核工学コースで結果は不合格でした…(´゚д゚`)
結果は不合格でしたが、自分が受験した学科コースの体験記が皆無なことから特に面接の情報などは有益と思われるので書いていこうと思います。
一応スペック
・学科順位は常に約40人中30台後半をさまよっており留年チキンレースをしていた
・高専卒業後、和歌山大学システム工学科に編入。ここでいわゆる仮面浪人を実施
・併願校:神戸大学理学部物理学科(合格)
・TOEIC:580
・TOEFLibt:58(R:15,L:12,S:12,W:19)
志望動機:元々京都大学に憧れがあったので受けようと思っていた。素粒子物理学に興味があり、理物に編入したかったが理学部は編入を受け付けていなかったので、編入可能且つそれっぽいことが出来そうなこの学科を選んだ。また、京都大学は現役の頃(一年前)にも受験して落ちていたのでそのリベンジをしたかった(現役期は電電を受けた)。
↑勿論本番ではこんなことは言っていないです.
試験対策
数学
次に過去問を過去5年分程やってから、「編入数学過去問特訓」を明らかに出ないような問題から目を背けながらやったり、高専の数学の教科書から平均値の定理やシュワルツの不等式のような過去問にあるorありそうな定理等の導出を一通りやりました。
また微積や線形代数で分からないところがあれば、「明解演習微分積分」「明解演習線形代数」の二冊を使って勉強しました。この二冊は編入試験範囲外の内容も多いので取捨選択が必要ですが、いろいろと詳しく載っているのでおすすめです。
まあ過去問を見ると分かるのですが、最近の京大の数学はあからさまに易化してきているので、「過去問特訓」のC問題とかを見て変に恐れる必要は無いと思います。
物理
神戸の対策で結構やっていたのでそれ以降は特にやっていません。
過去問を5年分程やったのと、記憶を呼び起こすために試験2週間前辺りから「基礎物理学演習ⅠⅡ」を一周しました。
化学
化学は7月に受験した神戸大の編入試験後に開始して、有機化学は「マクマリー有機化学(上・中)」、一般科学は「大学への橋渡し 一般化学」を使って勉強しました。また仮面先の大学で有機化学や量子化学の授業を取ったりしていました。
過去問も例によって5年分程やりました。
京大の化学は普通に大学内容で範囲も広いので、一か月前からにわかに始めたところでは1割も取れないことの方が多いです。そのため化学を捨てるつもりでなければ早いうちから対策を始めた方が良いです。
また化学の参考書として、ネットで調べると「鎌田の有機化学の講義」や「化学の新研究」などの高校生向けのものが出てきます。これらはよくまとめられているのですが、殊京大編入対策という面では殆ど役に立たないです(上記の本については経験済み)。
初めから大学内容から始めても理解的な面では全然問題ないので時間に余裕が無い人ほど高校内容はやらないことをお勧めします。
有機化学の本として挙げたマクマリーですが、これには「有機化学概説」という上中下を一冊にまとめたお手軽バージョンがあり、上中を読む前にこちらを見た方が情報がまとまりやすいと思います。
一方で、京大の過去問の中には上中に載ってて概説には載っていない反応もいくつかあるので(トシラートイオンのやつとか)、概説だけやって突撃するのはあまりお勧めしないです。
TOEFL
4月に受験して48点、GWにもう一度受けて58点で、後者を提出しました。
これについては別の記事をまた書くつもりです。
全体的に、京大の編入試験は大学名の割には基本問題が多く、また一見難しくても誘導に沿ってやっていれば割と解けるような問題も多いです。
そのため基本を固めるような勉強の方が適していると思われます。
使用した参考書
数学
・「編入数学徹底研究(聖文新社)」
・「編入数学過去問特訓(聖文新社)」
・高専の教科書
物理
・「基礎物理学演習ⅠⅡ(サイエンス社)」
・「電気磁気学 その物理像と詳論(森北出版)」
化学
・「大学への橋渡し 一般化学(化学同人)」
書いてて上の対策と内容全く同じことに気づいた()
(^'^)
試験前日
昼頃に予約していたホテルに到着して、それから観光をしました(徒歩圏内だったので八坂神社やその近くの喫茶店へ行きました)。
コロナの影響で観光客はほとんどおらずかなり快適でした。
夜は去年の京大編入試験の合格者であるところの水無月さんとラーメンを食べました(美味しかった)。
夕食後、京都のバスが複雑でよく分かっていなかったので当日乗っていいバスを教えてもらったりしました(一緒に理学聴講しようなって話だったのに落ちてしまってすみません…)。
落ちた自分が言うのもアレですが、前日に詰め込んだところで試験はどうにもならない上、変に勉強不足の部分に気が行って余計な不安を抱えることになるので、前日はしっかり寝ることと心を落ち着かせることを第一に考えた方が良いと思います。
↓水無月氏の体験記
試験一日目(筆記)
集合場所は敷地内の庭みたいなところで、時間になったら試験会場まで案内されます。
今年の受験者は17人(←少な)で、全員出席でした。
試験会場には備え付けの時計が張り付けてあり、自前の腕時計は外すように言われます。腕時計をよく忘れる人におすすめの編入先と言えます。
数学
試験時間は120分
今年の数学はバカ簡単でした。出来は悪くても9.5割程。
物理&化学
試験時間は2つ合わせて120分です。
力学
運動方程式から運動量保存則など色々な式を導くというもので、やることは単純でしたがどの記号が与えられているのかが分からず個人的にはあまりできなかったです。出来は6割程
電磁気
離れた点に対して円電流が与える電場とかを答えるだけの異様に簡単な問題でした…が、自分は問題文を読み違えて点の位置を違う場所と勘違いしてしまい全く関係のない電場を計算していました…(多分これさえ無ければワンチャンあった)。
試験中は京大は流石に難しい問題を出すなあと思っていたのですが、後で他の受験者と感想戦してた時にこれが発覚して以降死んでました。
所々奇跡的に一致するところがあったので部分点とか加味してもおそらく2割程度…
化学
無機が出て死にました。あと重合体とかも出てた気がする。そんなのやってない…
出来は2割程度
これからの受験者の皆さんは無機化学もちゃんと勉強しましょう(無機に関しては高校範囲で大丈夫と思う)。
電磁気のやらかしに気づいてから完全に放心状態でホテルに戻ってふて寝しました。
試験二日目(面接・口頭試問)
これは物理工学科の場合です。各学科ごとに集合時刻も面接の内容も全く異なるのに留意してください。
概要
・AM9:15に建物に集合。受験番号順に1人30分ずつ面接及び口頭試問が行われる(コースごとではない)。
・待機中は私語とスマホ禁止。読書はOK。口頭試問の内容が完全に未知だったので、とりあえず待ち時間に原子核に関する内容の参考書を読んでいたがその内容は一切出なかった…(´;ω;`)
・面接の部屋と面接官はどのコースも多分同じです。口頭試問の内容は同じかも知れないし違うかも知れない。
・面接官は5人おり、自分が座る椅子の前方に机と、後方にホワイトボードがあります。
・30分はきちんと測られており、開幕5分程面接をしてから残りの時間は全て口頭試問(30分を過ぎると打ち切られて帰れと言われる)
(´・ω・`)(´・ω・`)
内容
聞かれたこと
・志望動機
・量子論的な効果を用いた技術は10年後どのように発展していると考えるか(志望動機でそれっぽいことを言ったため)
・原子核工学コースでどのようなことが学びたいか。
・学んだことはどのようなことに活かされるか。
大したことは聞かれず5分ほどで口頭試問が始まりました。
口頭試問
三人の面接官から力学、熱力学、電磁気学に関する問題が出された。
力学(口頭で問題を出されて口頭で答える形式)
・滑らかな床の上でキャスター付きの椅子にボールをもって座っている状況を考える。この時ボールを前方へ投げるとどのように動くか。またそれはなぜか(運動量保存則)
・同じ状況で、指でボールを回転させると自分はどのように動くか。またそれはなぜか(角運動量保存則)
熱力学(問題のプリントを渡されて口頭で答える形式)
・クラウジウスの原理の説明(対偶が成り立たないことを示すやつ)
・ジュールの法則の説明
電磁気(問題のプリントを渡されて口頭で答える形式)
プラズマについて
・直線電荷の周りの電場を求める(自分はガウスの法則でやったらその式は何?とか聞かれてきょどった)
・電子が気体に衝突してイオンが電離してガスを発生させる現象について、電子とイオンのどちらがより現象に寄与するか。
プリントの方は結構急かされるので怖かった。
普通に知ってるのに忘れてて答えられなかったものが結構あって感触は微妙でした。おそらく例年ここに書いたようなことを聞いてくると思うので、これから原子核工学コースを受験する人はこれを元にしっかり対策をして良い印象を与えましょう。
結果
落ちてました(それはそう)。
感想
今年は数学と物理が易化していた反面ボーダーは恐ろしく跳ね上がっていたと思われます。
受験者17人中合格者は5人で、中でも合格者の内自分の認知している2人はTOEFL100↑で東大編入試験合格済みという強者ばかりでした()
また知り合いに出来が数学9割物理8割程で不合格をもらっていた人もいました(TOEFLは66くらい)。
出来を聞いてて、なんか自爆した自分はともかく彼は流石に受かっているだろうと踏んでいたので結構衝撃でした。
今回は数物が易化しすぎて点数が横並びだったからTOEFLの高い人を取ったのではみたいな話を受験er同士でしていました。
今後どれくらい合格者を取るようになるかは謎ですが、TOEFLや化学について今まで以上に高い点を要求される可能性は高いのでこれから受ける人たちは頑張って下さい。
また自分は京大に落ちたことで来年から神戸大の理物に進むことが確定しました。試験勉強の成果を十分に発揮できなかったことには悔しさが残りますが、もともと興味自体は理物の方が近かったこともあり、まあ仕方ないかなと言う感じで今は結果を受け入れています。
スペックで書いたように自分は元々クラス内順位で常にワースト5辺りに常駐しているような出来の悪い学生でした。その状態から(しっかり1浪したものの)神戸大に合格し、京大も十分合格が見えるラインまで持って行けたのは我ながら頑張った方だと思います(思いたい)。
自分の編入ライフはこれにて終了ですが、学部の講義や大学院入試など勉強の機会は無くなるどころか更に増えていくので、編入期間で得た知識や勉強法(?)を活かしてこれからも頑張っていきたい所存です。
以上になります。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
質問等あれば@NSD_collider (Twitter)まで
(試験対策で作成した過去問の解答とか持て余してるので欲しい人いたら是非)
(゚Д゚)ノ